デジタル全盛の波を受け、近年では知育・玩具産業の現場でも、自然物を用いたダイレクトな体験価値が見直されている。画面をタップするだけでは得られない、植物の青い匂い、ちぎれる時の繊維の手応え、冷たい水の感触。五感を総動員する体験が、子どもの空間認識力や創造力を刺激する。
『となりのトトロ』のワンシーンに描かれるような豊かな自然との交歓は、今や都市部の家庭にとっても貴重な原体験だ。教育メディアもこの潮流を後押ししている。NHKの造形教育番組『ノージーのひらめき工房』をはじめとする番組群でも、身近な自然素材を使った工作がたびたび特集され、放送後にはNHKプラスでアーカイブを繰り返し視聴しながら親子で公園へ繰り出す光景が日常となった。既製品の玩具を消費するのではなく、道端の緑から自らの手で遊びを創り出す面白さに、多くの大人が再発見の喜びを感じている。