編集部が保育士、小学校教員、地域コミュニティの役員、および小売店の販促担当者計120名を対象に実施したアンケート調査とヒアリング取材では、イラスト素材選びにおける現場特有の苦悩と本音が浮き彫りになりました。
現場から寄せられた具体的な証言を検証すると、共通する3つの課題が見えてきます。
第一に、「解像度不足による印刷事故」です。公立保育園に勤務する30代の保育士は、次のように語っています。
「Web検索で良さそうなイラストを見つけてワードに貼り付けたら、画面上では綺麗だったのに、実際に印刷するとガタガタのモザイク状になってしまい、刷り直しで残業になった経験が何度もあります。特に保護者に配るプリントは解像度300dpi以上の元データが必要だと痛感しました。」
第二に、「生成AIによる不自然な描写への違和感」です。販促チラシを手がけるデザイン担当者からは、以下のような指摘がありました。
「最近の無料素材サイトにはAI生成のイラストが急増していますが、よく見ると人物の指が6本あったり、ひまわりの花弁の重なりが物理的におかしかったりします。SNSやチラシに使うと生活者の目が肥えているため『不気味』『雑』という印象を与えかねず、手描き感のある確固たるプロ作家の素材を厳選せざるを得ません。」
第三に、「テイストの不一致によるデザインの崩壊」です。1枚の紙面の中に、リアルタッチな花火とコミカルなタッチの動物、水彩風のひまわりが混在すると、視覚的なノイズとなり情報が正しく伝わりません。同一のイラストレーターが描いたセット素材や、線の太さが統一された素材コレクションを活用することが、洗練されたおたより・チラシ作りの必須条件といえます。