火のないところに煙は立たないと言われますが、ネット社会においては「全く火のない場所に巨大な煙が合成される」ケースが珍しくありません。加藤あいの重病説において、デマの根拠となった要素を分解すると、主に以下の3つの構造的なからくりが見えてきます。
第1に、検索アルゴリズムのサジェスト汚染です。露出が減った有名人に対し、一般ユーザーが「加藤あい どうした」「病気?」と検索することで、検索エンジンの関連キーワードに「病気」が固定化されます。そのキーワードを見た別のユーザーが「病気なのだ」と誤認してクリックを繰り返すという、負のスパイラルが発生していました。
第2に、同姓同名や類似タレントの健康トラブルとの混同です。芸能界では同年代のタレントやモデルが休養を発表する事例が度々報じられますが、ネットの伝言ゲームの中で情報がすり替わり、加藤あいの名前と結びつけられて拡散された痕跡が確認できます。
第3に、代表作『海猿』の過酷な撮影イメージです。共演した伊藤英明をはじめ、キャスト陣が極寒の海で命がけのロケを敢行したエピソードは広く知られていますが、過酷な現場で体力を消耗したエピソードが、歳月を経て「体を壊して引退状態になった」という尾ひれ付きのストーリーへと変質していきました。