日本から海を渡った投手が最初に直面する最大の関門が、メジャーリーグの公式球の違いと投手陣の反応です。NPBの統一球と比較して、MLBのローリングス社製公式球は「滑りやすい皮革」「縫い目(シーム)の低さ」「球自体の大きさの個体差」が特徴として挙げられます。試合前に泥(専用のローリングス・マッド)を手作業で塗り込む運用形態のため、球ごとの摩擦係数に微妙なばらつきが生じます。
このボールの違いは、投手の肘や前腕部に想定以上の負荷を強いる要因となっています。滑りを抑えるために強く握り込むことで筋肉の緊張が増大し、ピッチクロック(投球間隔制限)の導入と相まって肘靭帯(UCL)損傷のリスクが跳ね上がる傾向が現場取材でも指摘されています。日本人投手がメジャー1〜2年目に直面する故障リスクの背景には、単なる登板過多だけでなく、ボールの物理特性と投球バイオメカニクスの不適合という構造的要因が存在します。