肋骨といえば胸全体をカゴのように覆う骨をイメージしがちですが、その最上段に位置する第一肋骨は、一般的な肋骨とは形状も役割も大きく異なります。第1胸椎から前方に向かってほぼ水平に走り、胸骨の最上部(胸骨柄)へとつながる、平たくて硬いC字型の短い骨です。
体表からの位置関係を見ると、第一肋骨は鎖骨のすぐ真下かつ深層に隠れており、外側から直接目視することはできません。しかし、鎖骨の上のくぼみ(鎖骨上窩)に指を滑り込ませ、首の筋肉の奥を慎重に探ることで、骨の上面に触れることが可能です。首の横にある前斜角筋と中斜角筋の隙間を指先で軽く押さえ、呼吸に合わせてわずかに押し上げられる硬い感触が第一肋骨です。ただし、この部位にはデリケートな神経線維が走っているため、強い力で押し込むのは避ける必要があります。
第一肋骨の上面には、首から腕へと伸びる腕神経叢(わんしんけいそう)と、腕全体へ血液を送り出す鎖骨下動脈が通過する重要な溝が刻まれています。骨と筋肉に囲まれたこの極めて狭い隙間(斜角筋隙)を主要なライフラインがすり抜ける構造になっているため、骨のポジション異常がダイレクトに神経障害や血流障害を引き起こす解剖学的な弱点となっているのです。