オープン当初、東京建物Brillia HALLに寄せられた観客の不満は極めて深刻なものでした。特に問題視されたのが、「1階席の床傾斜が緩く前の観客の頭で舞台中央が完全に隠れる」「2階・3階席の手すりが太く舞台前方を遮断する」「サイドバルコニー席からステージの半分しか見えない」という3点です。公式アンケートやSNS上には観劇ファンからの悲鳴が溢れ、一時は「観客泣かせの劇場」という不名誉なレッテルまで貼られる事態に陥りました。
こうした事態を重く見た劇場および運営主体は、段階的な改修プロジェクトを推進しました。座席の千鳥配置(左右に半席分ずらす配置)への変更、座席のクッション調整による座面高のかさ上げ、そして視界を遮っていた頑丈な手すりを細身の金属バーや低背タイプへ交換するなど、ハードウェア面の大規模な座席改善が実施されたのです。
改修後の現在、オープン初期に見られた「何も見えない」という極端な視界不良はほぼ解消されています。とりわけ1階センターブロックや2階正面席の視認性は劇的に向上し、舞台作品への没入感を存分に味わえる標準的な劇場水準へと生まれ変わりました。ただし、建物全体の躯体構造そのものを建て替えたわけではないため、フロアごとの物理的制約や角度による見切れリスクが完全にゼロになったわけではありません。