「以前は来庁してから申請書を記入し、番号札を引いて30分以上待つのが当たり前でした。今はスマホで事前予約しておけば、到着して顔認証を通すだけで完了します」
市役所を訪れていた40代の女性市民は、笑顔でそう語る。調布市が2025年末から段階的に導入してきた「スマート来庁システム」は、2026年春に完全運用へと移行した。住民基本台帳や税務データが高度に暗号化された基幹システムと連携しており、申請者は事前に入力したQRコードか生体認証をかざすだけで、必要書類を数分で取得できる。
職員の働き方も一変した。単純な入力作業や書類の突合から解放された職員たちは、複雑な福祉相談や個別事情を抱える市民への手厚いヒアリングにリソースを集中させている。業務効率化とサービス品質の向上という、従来の行政運営では二律背反とされた課題を同時にクリアした格好だ。