「妊娠初期に葉酸をいつから飲めばよかったのか」と過去を振り返っても時計の針は戻りません。重要なのは、「妊娠が判明した今、何ができるのか」です。葉酸サプリメントは今からでも十分に間に合いますし、継続して摂取する明確な医学的理由が存在します。
まず押さえておきたいのが、妊娠中期から後期における葉酸サプリの必要性です。神経管の形成期間が過ぎた後も、胎児は猛烈なスピードで新しい細胞を生み出し、臓器や筋肉を成長させていきます。さらに、妊娠中の母体は胎児へ酸素と栄養を届けるため、循環血液量が約40%も増加します。葉酸は「造血のビタミン」とも呼ばれ、ビタミンB12とともに赤血球を生成する極めて重要な役割を担っています。
妊娠中期以降に葉酸が不足すると、母体が深刻な貧血に陥りやすくなるだけでなく、胎盤機能の低下や妊娠高血圧症候群、早産、胎児の発育遅延といったリスクが高まることが示唆されています。したがって、初期の摂取を逃したとしても、妊娠判明時から葉酸を補給することは、中期以降の胎児の成長と母体の健康維持に絶大なメリットをもたらします。
具体的な摂取方法としては、厚生労働省の指針に基づき、食事からの摂取(推奨量240μg)に加えて、サプリメント等から1日240μg〜400μg程度を補うことが推奨されます。なお、うっかり数日分を飲み忘れた場合の対処法として、「まとめて倍量を飲む」行為は避けてください。葉酸サプリメントの多くに採用されている合成葉酸(モノグルタミン酸型)は過剰摂取の耐容上限量が1日1,000μg(1mg)と定められており、過剰摂取は亜鉛の吸収阻害などを引き起こす恐れがあります。飲み忘れた日があっても気にせず、翌日から規定量を再開するだけで十分です。