トリノ五輪後の失意から劇的な復活を遂げる大きな契機となったのが、ロシアの名振付師・コーチであるニコライ・モロゾフ氏との師事でした。それまで「ジャンプの天才少女」という印象が強かった安藤美姫さんは、モロゾフ氏の指導のもとで大人の表現者へと脱皮していきます。
指先の細やかな動き、顔の角度、曲の世界観を身体全体で表現するドラマチックな振付を取り入れ、プログラムごとの演じ分けに深みが加わりました。『カルメン』や『サン・サーンスの交響曲第3番』で見せた情熱的かつ重厚なスケーティングは、欧州の審判団からも高い芸術点(PCS)を獲得する要因となりました。
コーチとの強い信頼関係は時にプライベートを含めてメディアに大きく取り上げられましたが、選手としての安藤美姫さんを世界最高峰の総合力を持つスケーターへと引き上げた功績は極めて大きなものでした。