ネット上の掲示板やSNSでは、敗退直後から「ドミニカの有名選手たちが国を代表する気概を失っていたのではないか」「辞退者が多すぎたのは愛国心の欠如だ」といった手厳しい声が散見されました。しかし、この言説は実態を著しく歪めた誤解に過ぎません。
実態調査を進めると、開幕直前に主力投手が次々と離脱した背景には、選手自身の意思を超えた「MLB保険問題」と「球団フロントの露骨な引き留め」が存在していました。WBCに出場する選手には、大会期間中の負傷による年俸補償を行うための保険加入が義務付けられています。しかし、過去に肘や肩の手術歴がある選手や、直前シーズンで故障者リスト(IL)に入っていた選手に対し、保険会社が保険の適用を拒否するケースが相次ぎました。
球団側にとっても、数百億円の契約を結ぶエース投手をシーズン開幕前の3月に全力投球させるリスクは極めて高くなります。球団は「保険が下りない以上、球団の資産を守るため出場を許可できない」という正当な口実を得て、主力投手の派遣を次々と差し止めました。エース格として期待されていたルイス・カスティーヨやフランキー・モンタスらの不参加は、選手が代表を辞退したのではなく、「契約の盾」によって出場を阻まれたというのが法的な事実です。手足をもがれた状態で開幕を迎えた首脳陣の苦悩は、表層的なスコアボードだけでは決して見えてこない過酷なものでした。