インターネット上の検索エンジンでは、定期的に「喉の手術」「声帯ポリープ切除」といったワードが浮上します。しかし結論から言えば、稲葉浩志の声帯不調と喉の手術の真相において、メスを入れる外科手術が行われたという事実は存在しません。
彼が最も過酷な声帯の危機に直面したのは、2018年に行われたB'zの「HINOTORI」ツアーでした。愛媛県武道館公演などにおいて、突如として喉のコントロールを失い、ライブが一時中断するという前代未聞のアクシデントが発生しました。NHKスペシャルをはじめとする長期密着ドキュメンタリーの記録映像には、バックステージで医師の診察を受けながら、絞り出すように「声が出ない」と苦悶する彼の姿が生々しく記録されています。
当時、ファンの間では「もう以前の高音は出ないのではないか」と深刻な懸念が広がりました。しかし、彼が選んだ道は外科手術による安易な切除ではなく、専門医と二人三脚で挑んだ徹底的な保存療法と発声機構の再構築でした。声帯への血流を促す温熱ケア、吸入器を用いた綿密な湿度管理、そして声帯の閉鎖筋を痛めずに共鳴腔を最大限に響かせる新しい発声フォームの習得。数か月に及ぶ過酷なリハビリテーションを経て、彼は驚くべきことに以前よりも太く艶やかなハイトーンボイスを取り戻し、完全復活を果たしたのです。