なぜ日本の女性芸人によるモノマネが、カルチャーの本場であるアメリカでここまで熱狂的に受け入れられたのでしょうか。その最大の要因は、徹底した技術力に裏打ちされた本格派のダンスパフォーマンスにあります。
海外における彼女の評価を決定づけたのは、SNSの拡散力でした。2014年、アメリカのエンタメメディアやバイラルメディアが彼女のパフォーマンス映像を「日本のビヨンセ」として紹介すると、海外の反応は一気に爆発。「信じられないほどキレがある」「彼女は自分の身体を完全にコントロールしている」「最高にクールでエンパワメントされる」と絶賛の嵐が巻き起こりました。
アメリカのコメディ界において、リップシンクはすでに独立したエンターテインメントジャンルとして確立されていました(人気番組『Lip Sync Battle』などがその象徴です)。しかし、渡辺直美のパフォーマンスは単なる口パクの真似事ではなく、ビヨンセの放つパワフルなフェミニズムや生命力を全身から放電するレベルに達していました。プラスサイズであることを誇り高く掲げ、堂々とステージを支配するアティチュードが、多様性とボディポジティビティを重んじる現地のカルチャートレンドと完璧に共鳴したのです。