ワイドショー報道しか知らない一般層の間では「態度の悪かった選手」「トラブルを起こした元アスリート」という偏った見方をされがちですが、スノーボードの実力・評価において、國母和宏は日本の歴史上間違いなくトップクラスの天才ライダーです。
彼の残した競技実績の中でも最大の金字塔が、2010年および2011年に開催された世界最高峰の大会「USオープン」ハーフパイプでの2連覇です。当時、オリンピック王者として君臨していた絶対王者ショーン・ホワイトら世界の超一流を抑えての連覇は、アジア人として前人未到の快挙であり、世界中を驚嘆させました。技の難易度(回転数)のみを競う風潮に抗い、空中での高さ、グラブの美しさ、着地の完成度という「スタイル」で頂点を極めたのです。
さらに特筆すべきは、指導者としての類まれな手腕です。2013-2014年シーズン、國母は全日本スキー連盟のスノーボード技術コーチに電撃就任。2014年ソチオリンピックでは、当時まだ10代半ばだった平野歩夢(銀メダル獲得)と平岡卓(銅メダル獲得)を現地で徹底指導しました。
世界を制した経験を持つ彼だからこそ伝えられる「大舞台でのメンタルコントロール」と「世界基準のスタイル」を惜しみなく授け、日本スノーボード界初の五輪メダル獲得という歴史的瞬間を陰の立役者としてプロデュースしました。平野歩夢自身も國母を兄のように慕い、今なお深い敬意を抱き続けていることは専門誌のインタビューでも広く知られています。