ガラス製や陶器の食器であれば一度の洗浄で簡単に落ちる油汚れが、なぜタッパーなどのプラスチック容器ではしつこく残ってしまうのか。その答えは、素材自体の化学的性質(親油性)にあります。
一般的なプラスチック製保存容器の多くは、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)といった石油由来の樹脂から製造されています。油も同じく炭化水素を主成分とするため、化学的な構造が非常に近く、お互いが磁石のように強く引き合って結合(吸着)してしまう性質を持っています。陶器やガラスは「親水性」が高く水が油の間に入り込みやすいのに対し、プラスチックは水分子を強く弾き、油分子を強力に抱え込んでしまいます。
さらに見逃せないのが、目に見えない微細な傷(マイクロクラック)の存在です。スポンジの硬い面やナイロンたわしで容器を洗うと、表面に無数の細かい溝が刻まれます。この微小な隙間に油や着色成分が入り込むと、一般的なスポンジの繊維や水流が届かなくなり、通常の食器用洗剤による油汚れ分解作用だけでは表面を撫でるだけになってしまいます。