自然界における鈴虫の発生時期は、本州の平野部において8月下旬から10月下旬が最盛期です。立秋を過ぎ、朝夕の気温が下がり始める頃に成虫が現れ、11月の初霜が降りる前後に短い生涯を終えます。
活動時間帯は基本的に夕暮れ時から深夜(18時〜24時頃)がピークとなる夜行性の昆虫です。直射日光による乾燥や天敵(トカゲ、鳥類、クモなど)の捕食から身を守るため、日中は草むらの根本や朽ち木の隙間、濡れた落ち葉の裏に潜み、周囲が暗くなると活発に活動を開始します。
しかし、飼育ケース内や庭の植え込みなどで「なぜか真っ昼間に激しく鳴いている」という場面に直面することがあります。昼間に鳴く理由には、生物学的に明確な3つの要因が存在します。
- 照度条件の錯覚:鈴虫は複眼で明暗を感知しています。曇天や雨天で薄暗い日、あるいは室内飼育で直射日光の当たらない薄暗い部屋にケースを置いている場合、鈴虫の体内時計が「夕方または夜間」と誤認して発音行動が誘発されます。
- 適正温度(25℃前後)の一致:鈴虫の発音筋は変温動物であるため気温に強く影響されます。活動最適温度は22℃〜26℃です。晩秋になると夜間の気温が15℃以下に冷え込み、筋肉が動かず鳴けなくなるため、日中の暖かな時間帯(20℃を超える昼過ぎ)を選んで集中的に鳴く現象が見られます。
- 高密度飼育による社会的刺激:狭い飼育ケース内に多数の個体が存在する場合、オス同士が昼夜を問わず頻繁に接触します。触角が触れ合う刺激が引き金となり、縄張り主張や興奮状態が持続することで、昼間であっても鳴き続けるケースが多発します。