なぜ不動産情報において、500メートルは一様に「徒歩7分」と表記されるのでしょうか。その根拠は、業界の自主規制ルールである「不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)」および同施行規則に明確に定められています。
同規約において、不動産の徒歩所要時間は「道路距離80メートルにつき1分間を要するものとして算出する」と規定されています。さらに極めて重要なのが「1分未満の端数が生じたときは1分として切り上げる」という鉄則です。この分速80メートルの計算方法を500メートルに当てはめると、以下の数式になります。
500m ÷ 80m/分 = 6.25分
小数点以下の端数(0.25分=15秒)が発生するため、規約に則って無条件に切り上げられ、広告上は「徒歩7分」という表記が確定します。つまり、計算上は「6分15秒で歩き切る距離」であっても、法律上の表記は7分となる仕組みです。
そもそも「分速80メートル(時速4.8キロメートル)」という基準は、昭和38年(1963年)に当時の公正取引委員会主導のもと、ハイヒールを履いた成人女性が実際に歩いて計測した平均速度をベースに制定されたという歴史的経緯があります。しかし、現代人の標準的な散歩ペースとされる時速4キロの歩行ペース(分速約66.7メートル)で換算した場合、500メートルの歩行には約7分30秒を要します。計算上の基礎ペースそのものが、やや足早な歩行を前提に設計されている点を見落としてはなりません。