演劇界における彼の評価を決定づけたのは、文学的・実験性の高い重厚な作品群への連続起用である。代表作を時系列で振り返ると、彼が選んできた作品の特異性が浮き彫りになる。
2021年の『リボルバー〜誰がゴッホを撃ち抜いたんだ〜』(原田マハ原作、行定勲演出)では、悲劇の天才画家フィンセント・ファン・ゴッホを熱演。自らの耳を切り落とすほどの狂気と、絵の具の匂いが立ち込めるような純粋な情熱を舞台上に立ち上げ、観客を息を呑む緊張感へと引きずり込んだ。
続く2022年の『閃光ばなし』(福原充則作・演出)では、黒木華と兄妹役を演じ、昭和の混乱期を泥臭く疾走するエネルギーを爆発させた。さらに演劇ファンを震撼させたのが、2023年の『少女都市からの呼び声』(唐十郎作、金守珍演出)である。アングラ演劇の最高峰とされる難解かつ熱狂的な世界観において、劇団・新宿梁山泊の猛者たちと対等に渡り合い、ガラスの身体を持つ雪子を救おうとする田口役を狂おしい情念で体現してみせた。
そして2024年の『あのよこのよ』(青木豪作・演出)では、明治初期の浮世絵師をモチーフに、生と死、虚構と現実が交錯する奇想天外な人間賛歌を軽妙かつ凄絶に演じ切った。彼の軌跡は、単なる人気タレントの客演ではなく、日本演劇界の第一線で戦う正真正銘の舞台俳優としての歩みそのものである。