西銀座チャンスセンターには複数の窓口が並んでいますが、行列の約7割から8割が「1番窓口」に集中します。なぜここまで1番窓口が神格化されたのでしょうか。その発端は、1992年(平成4年)の年末ジャンボ宝くじに遡ります。発売初日に1番窓口でくじを購入した一般男性が見事に1等を引き当て、そのエピソードがテレビのワイドショーで大々的に報道されたことがきっかけでした。
テレビ特番や報道インタビューで取り上げられたことで、「1番窓口で買えば億万長者になれる」という強烈な物語が全国へ浸透しました。その結果、全国の熱心なファンが1番窓口へ押し寄せ、売り場全体の売上のうち極めて高い割合を1番窓口単体が占めるようになったのです。当然ながら、1番窓口から出る当たりくじの数も跳ね上がります。
認知心理学の観点から分析すると、ここには「確証バイアス」が色濃く働いています。「1番窓口から当たりが出た」というニュースは大々的に記憶される一方、「1番窓口で外れた無数のくじ」の記憶は購入者の意識から即座に抜け落ちます。加えて、数時間の極寒の行列に耐えたという「努力のサンクコスト(埋没費用)」が、「これだけ苦労したのだから当たるはずだ」という心理的確信を補強する構造になっています。