1977年、フランス北部のアミアンで医師の家庭に生まれたエマニュエル・マクロン氏は、幼少期から卓越した知性を発揮していました。名門パリ第10大学で哲学を専攻した後、官僚養成の最高峰であるENA(国立行政学院)を卒業。財務監査官としてキャリアをスタートさせた後、名門投資銀行ロスチャイルド&カンパニーへ転身します。ここで大型M&A(企業の合併・買収)を次々とまとめ上げ、莫大な報酬を手にしたことで「金融界のモーツァルト」の異名をとりました。
転機となったのは2012年、社会党のオランド大統領補佐官への就任です。2014年には36歳の若さで経済・産業・デジタル大臣に抜擢され、日曜営業の規制緩和などを盛り込んだ通称「マクロン法」を主導しました。しかし、旧態依然とした左派・右派の既成政党に見切りをつけた彼は、2016年に政治団体「アン・マルシュ!(現ルネサンス)」を結党。左右の垣根を超えた中道リベラル路線を掲げ、2017年の大統領選挙で見事に初当選を果たしました。
一方で、バンカー時代のキャリアから「富裕層の大統領(Président des riches)」というレッテルを貼られ、富裕税の廃止や労働市場改革に対しては庶民層からの激しい反発を招くことになります。資産申告書で開示された預金や投資信託の額は政治家として透明性が保たれているものの、国民感情との乖離が常に批判の火種となってきました。