知恵袋やSNSなどの育児コミュニティにおいて、「名前にさんずいを使うと水難に遭う」「人生が水に流されて不安定になる」といった書き込みを目にして不安を覚える保護者は少なくありません。しかし、こうした言説の背景を論理的・歴史的に紐解くと、根拠のない俗説であることが明確になります。
なぜ「さんずいは避けるべき」と言われたのか?
古代の農耕社会や治水技術が未発達だった時代、洪水や水害は人々の生活を脅かす最大の天災でした。このため、古い民間信仰や一部の家相学・古い占い師の間で「水にまつわる文字=災い」と短絡的に結びつける傾向が生じたのが噂のルーツです。
しかし、東洋思想の根幹である道家思想(老子)では、「上善は水の若し(最高の善とは水のようなものだ)」と説かれています。水は万物に恩恵を与えながらも決して自己主張して争わず、常に低い場所へと柔軟に形を変えて流れることから、最も徳の高い存在と讃えられてきました。つまり、漢字の学問的・思想的な本質において、さんずいは極めて吉兆に満ちた部首なのです。