公文式の教室現場で長年指導にあたる関係者の証言や、元指導者による手記を分析すると、生徒がI教材で立ち止まる理由は決して「本人の数学的才能の欠如」ではありません。最大の要因は、「例題のやり方を無視した自己流の解き方」と、見直し段階での「思考停止」にあります。
幼児期や小学校低学年から公文をスタートした生徒は、A〜F教材(四則演算の基礎)やG教材(正負の数・中1数学)あたりまでは、類まれな計算スピードと暗算力だけで猛スピードで突破してきます。しかし、I教材に入った瞬間にその成功体験が仇となります。因数分解や2次方程式では、「頭の中だけで数値をいじる暗算」が通用しなくなるからです。
元講師の指導記録によると、学習が進まなくなる生徒には明確な共通項が存在します。第一に「例題のステップを一行ずつ辿らず、いきなり答えの欄を埋めようとする姿勢」、第二に「間違えた際に、解答のどの過程で符号や展開を取り違えたのかを自分の手で確かめない姿勢」です。公文数学I進まない理由と対処法を客観的に精査すると、問題が解けないのではなく、「公文が提示する例題の型をインストールできていない」状態のまま突き進んでいるケースが約8割を占めています。
さらに、中学数学の集大成であるI教材は、G教材(1次方程式)やH教材(連立方程式・1次関数)の知識が完全に定着していることを前提として構成されています。基礎に1ミリでも穴があると、因数分解のたすき掛けや平方根の有理化で雪だるま式にエラーが頻発し、学習意欲そのものが削がれてしまうのです。