ネット上には「浴衣はモデル体型の細身男性ほどカッコよく着こなせる」という俗説がありますが、これは和装の構造学から見ると明白な誤解です。スーツをはじめとする西洋服が「人体の凹凸や立体的な骨格」を引き立たせるカッティングであるのに対し、和服は「平面の布を直線的に纏う」衣服です。そのため、細身で胸板の薄い男性が補正なしで浴衣を着ると、胸元がパカパカと浮き、帯が固定されずにずり上がってしまい、貧相な印象を与えがちです。
逆に、やや恰幅が良い男性やお腹周りに適度なボリュームがある男性の方が、帯の引っ掛かりが良いため着崩れしにくく、どっしりとした男性美を醸し出すことができます。体型に自信がない細身の男性こそ、前述した「タオル補正」を導入し、意図的にウエスト周りを太らせるアプローチを躊躇なく実践すべきです。
さらに、下駄に関するネットの誤解にも注意が必要です。「下駄はかかとまで台に乗せるサイズを選ぶべき」と思われがちですが、これも間違いです。正しくは「かかとが台から1〜2cmほど後ろにはみ出すサイズ」を選びます。重心がつま先側にかかり、鼻緒に足の指の股を深く押し込まない履き方ができるため、指の間が靴擦れのように痛むトラブルを防ぐことができます。