長年、日本の冠婚葬祭において女性の礼装といえばスカートが絶対的な正装とされてきました。パンツスタイルは一段格下の「略礼装」と位置づけられ、格式高いホテルや伝統的な式場では眉をひそめられるケースも少なくなかったのが実情です。
潮目が変わったのはここ数年のこと。日本のウエディング文化を切り拓いた故・桂由美氏が提唱し続けた「時代に即した美と多様性」の精神は、一般参列者の装いにも確実に浸透しています。全日本ブライダル協会などが発信する現代のマナー指針でも、会場の格式や新郎新婦との関係性に配慮すれば、上質なフォーマルウェアとしてのパンツ着用は広く容認されるようになりました。形式的なルールに縛られるよりも、祝意を込めて自分らしく装うことこそが尊ばれる時代へシフトしています。