物語の冒頭、クリスマスイブの夜に突如現れ、主人公のホスト・堂島旺太郎に死のキスを与えた謎の女。その怪しい風貌から当初は猟奇的な殺人者と思われていましたが、その正体は佐藤宰子(さとう さいこ)という心優しい一般女性でした。
宰子と旺太郎の間には、12年前に起きた豪華客船「エイト号」の沈没事故という過酷な接点が存在します。当時、船内で溺れかけていた幼い宰子を救い出した少年こそが、若き日の旺太郎でした。しかしその事故によって旺太郎は実の弟・光太を失い、家庭は崩壊。宰子は「自分が生き残ったせいで彼らを不幸にしてしまった」という猛烈な罪悪感を抱えたまま成長することになります。
街の片隅でひっそりと孤独に暮らしていた宰子が再び旺太郎の前に現れたのは、彼を殺すためではなく、「旺太郎の命を理不尽な死から救うため」でした。彼が何者かに毒殺・刺殺される未来を察知した宰子は、自らの能力を使って時間を巻き戻し、彼を死の運命から引き戻そうと必死にキスを仕掛けていたのです。