劇場版の最有力候補として真っ先に挙がるのが、ファンの間でトラウマと称賛が入り混じる「セイレーン・島編」だ。一見すると風光明媚なレジャー地でありながら、裏では不老不死の肉体を巡る醜悪な生贄の儀式と復讐劇が渦巻いていたあの長編である。
スクリーンでの長編化にあたり、映像制作者たちがどこまで原作者・ナガノ氏の描く「静かな狂気」を再現できるかが最大の焦点となる。美しい島々に鳴り響く人魚の歌声、夜陰に乗じて襲い来る巨大な怪物、そして仲間が変異していく絶望。単なるファミリー向けアニメの枠組みを完全に脱ぎ捨てた本格ダークファンタジーとして、観客の精神を削りにかかる展開はほぼ確実だ。