お気に入りのリングを外した際、指にくっきりと黒ずみが残っていたり、チェーンがどす黒く変色していたりする現実にショックを受けた経験は誰にでもあるはずだ。宝飾品表面で起きるトラブルは、厳密には単一の現象ではない。とりわけ市場で広く流通しているシルバー925(スターリングシルバー)の場合、大気中に微量に含まれる硫黄分や人間の汗、皮脂と反応して表面に硫化銀の被膜を生成することが主な原因だ。
一方で、汗や水気に強いことから現代の宝飾品・ジュエリー産業で急速に需要を伸ばしているのがステンレス鋼である。極めて高い耐食性を誇る金属だが、皮脂汚れの放置や海水への暴露、あるいは異種金属との接触によって、まれに表面に赤サビや「もらいサビ」が生じることがある。素材の特性を正しく把握することが、傷をつけずに美しい状態へ戻す第一歩となるのだ。