長年にわたり正体不明とされてきた彼女の出自ですが、2018年の逝去以降、驚くべきルーツが次々と明らかになりました。彼女の本名は中西美乃生(なかにし・みのう)さんであることが関係筋の公表により判明しています。
さらに世間を震撼させたのが、日本を代表する作詞家・作家のなかにし礼さんの実の姪であったという事実です。2026年に明らかになった親族関係の報道によると、彼女の父親は、なかにし礼さんの直木賞受賞作『兄弟』のモデルとなった実兄・中西正一氏でした。
小説『兄弟』を読んだことのある方ならご存知の通り、なかにし礼さんの実兄は戦後の満州からの引き揚げ以降、莫大な借金を背負い、破天荒かつ苛烈な生き方で弟である礼さんを長年翻弄し続けた人物です。森田童子はその正一氏の娘として生を受けました。破滅的なエネルギーと深い芸術的才能が同居する複雑な家庭環境のなかで育った経験は、彼女の表現に濃密な陰影と、痛切なまでの孤独感を与える決定打となったことは想像に難くありません。
叔父であるなかにし礼さんもまた、生前は姪が「森田童子」であることについて沈黙を守り続けました。巨大な名声を持つ叔父の威光に頼ることなく、自らの悲痛な抒情詩のみで時代と切り結ぼうとした彼女のプライドを、親族一同が暗黙のうちに尊重していた証左といえます。