館内へ足を踏み入れ、階段を下りた瞬間に広がるのは、昭和33年(1958年)の夕暮れ時の東京下町です。なぜ1958年なのか――そこには綿密な歴史的必然性が込められています。この年は、世界初のインスタントラーメンである「チキンラーメン」が誕生し、日本の食文化に革命が起きた記念碑的な年です。薄暗い路地裏、錆びついたトタン屋根、掲示板の古い映画ポスター、さらには物干し竿に干された洗濯物に至るまで、細部まで徹底して再現された空間は、圧倒的な没入感を生み出しています。
単なるフォトスポットにとどまらず、広場では紙芝居の口演が行われ、駄菓子屋「夕焼け商店街」では昔懐かしい菓子やおもちゃが実際に購入できます。また、地下1階の「喫茶&すなっく Kateko」では昭和レトロなクリームソーダやソフトクリーム、アルコール類を提供しており、ラーメンを味わった後の休憩場所としても機能しています。食のエンターテインメントと歴史アーカイブが見事に融合した唯一無二の設計こそが、世代や国籍を問わず人々を惹きつける最大の要因です。