女性同士の愛を描いた映画史において、決して避けて通れない金字塔が映画『キャロル』である。1950年代のニューヨークを舞台に、裕福な人妻と若い写真家志望の女性が落ちる運命の恋を描いた本作は、洗練された映像美と圧倒的な演技力で世界中を震撼させた。
圧倒的な存在感で気品あふれる主役を演じ切ったのがケイト・ブランシェットだ。彼女が見せる指先のわずかな震えや、手袋を外す仕草ひとつに宿る情熱は、言葉以上の雄弁さで愛の切なさを物語る。時代遅れの道徳観に抗いながらも自身の感情に誠実であろうとする二人の姿は、現代のクィア・シネマにおける金字塔として今なお燦然と輝いている。