伝統的な芋の子汁の具材は、里芋、鶏肉、ごぼう、にんじん、こんにゃく、舞茸、長ねぎが基本構成ですが、現代の殿堂入りレシピでは「旨味の相乗効果」を極限まで高める工夫が施されています。
特に重要なのが「鶏つみれ」と「複数種のきのこ」の組み合わせです。鶏もも肉のぶつ切りに加えて、粗挽きの鶏軟骨や生姜汁を練り込んだ自家製つみれを落とすことで、スープに重層的な動物性アミノ酸が溶け出します。さらに、舞茸だけでなく、しめじ、エリンギ、原木椎茸などを2〜3種ブレンドして加えることで、グアニル酸の相乗効果が爆発的に高まり、だしの厚みが格段に増します。
また、味のプロや老舗旅館の料理長が密かに用いる「隠し味」には、明確な機能的役割があります。
- 隠し味1:仕上げの「純正ごま油(数滴)」
植物性の良質な油脂を最後にわずかに落とすことで、表面に油膜を張りだしの香気成分を閉じ込めます。同時に、里芋の淡白な味わいに芳醇なアクセントを与えます。 - 隠し味2:煮込み段階の「微量の純米酒粕(または白味噌)」
醤油仕立ての汁であっても、隠し味として大さじ1/2程度の酒粕や白味噌を溶かし込むと、だしの角が取れ、何時間も煮込んだかのような深いコクと丸みが生まれます。 - 隠し味3:乾燥スルメ(または干し貝柱)の細切り
だしの抽出段階で少量の刻みスルメを投入する東北地方の漁師町に伝わる裏技。グルタミン酸とイノシン酸が結びつき、塩分を増やさずとも力強い旨味の骨格が形成されます。