多くの読者が結末を急いで知ろうとする背景には、緻密に張り巡らされた伏線と哲学的ともいえる心理描写の凄まじさがあります。『今際の国のアリス』本編(全18巻)で描かれた最大の謎――「今際の国とは何だったのか」「誰が何のためにげぇむを仕掛けたのか」という真相を整理します。
「今際の国」の正体と渋谷隕石落下事故
主人公・有栖良平(アリス)たちが迷い込んだ荒廃した東京の正体は、東京・渋谷に直撃した巨大隕石の被災者たちが見ていた「集団臨死体験」の世界でした。隕石衝突によって心肺停止、あるいは重体に陥った人々の意識が、生死の境目である「今際の国」に引きずり込まれていたのです。
作中で数週間から数ヶ月に及んだ過酷な滞在期間は、現実世界における「心停止していたわずか数十秒〜数分間」の脳内体験に過ぎませんでした。げぇむで死亡した者は現実世界でもそのまま命を落とし、すべてのげぇむをクリアして「帰還」を選択した者だけが、現実の病院の集中治療室で蘇生を果たしました。
難関絵札げぇむの一覧と過酷な試練
作中で繰り広げられた絵札(すぺえど、くらぶ、だいや、はぁと)の支配者(滞在者/国民)たちとの死闘は、各キャラクターの存在意義を極限までえぐり出すものでした。
- すぺえど・きんぐ(シーヤ):圧倒的な銃火器と体術を誇る傭兵との市街地サバイバル戦。アグニやヘイヤらの肉体を削る総力戦で撃破。
- くらぶ・きんぐ(キューマ):「すうとり」。全裸のロックスター・キューマ率いるチームとの知略とチームワーク戦。アリスが己の命を賭けた心理戦で勝利。
- だいや・きんぐ(クズリュウ):「びじんとうひょう」。法の正義と生命の平等を問う頭脳戦。チシヤとの命を賭けた対話の末、クズリュウ自らが信条を貫き散る。
- はぁと・くぃーん(ミラ):最後のげぇむ「くろっけぇ」。精神科医のミラがアリスの精神を錯乱させ、「すべてはアリスの妄想病だった」という偽りの現実を突きつける極限の心理戦。ウサギの自己犠牲と愛によってアリスは正気を取り戻し、ゲームを完遂。
すべての絵札をクリアした生存者たちには、「この国の国民(永住者)になるか」「永住を拒否して帰還するか」の二者択一が迫られました。アリスやウサギ、チシヤ、アグニらは帰還を選択し、現実世界の病床で目を覚まします。しかし、生き残った彼らの記憶から「今際の国」での記憶は完全に消去されており、病院の中庭で再会したアリスとウサギは、理由のわからない懐かしさを覚えながら新たな一歩を踏み出します。