天竜川の険しい断崖を縫うように走るJR飯田線は、鉄道愛好家から「秘境駅の宝庫」として国内外にその名を知られています。佐久間町内および隣接エリアには、車での到達が極めて困難な小和田駅や中井侍駅、伊那小沢駅といった全国屈指の秘境駅が点在しています。
その探索拠点となるのが中部天竜駅です。かつてこの駅には、歴代の名車両を一堂に集めた屋外型博物館「佐久間レールパーク」が併設されており、全国から多くの家族連れや鉄道ファンが詰めかけました。2009年の閉園後、展示車両の多くは名古屋市の「リニア・鉄道館」へと引き継がれましたが、現在も駅周辺には当時の鉄道文化を偲ばせる遺構や記念碑が大切に残されており、静かなノスタルジーを漂わせています。
飯田線の普通列車に揺られながら、車窓に流れる天竜川の深緑の渓谷美を眺める時間は、移動そのものが最上級の観光体験となります。運行本数が限られているため綿密なダイヤ確認が必須ですが、その不便さこそが旅情を深める醍醐味となっています。