大腿骨頸部骨折の治療方針を策定する際、整形外科医が指標とするのが骨のズレ(転位)の程度を示す「Garden(ガーデン)分類」です。骨折の重症度に応じてステージ1からステージ4までの4段階に分類されます。
- Garden Stage 1:不完全骨折(骨にヒビが入った状態、または一部が噛み合っている状態)
- Garden Stage 2:完全骨折だがズレがない(転位なし)
- Garden Stage 3:完全骨折で部分的にズレている(軽度〜中等度の回旋転位)
- Garden Stage 4:完全にズレて骨頭の位置が完全に狂っている(高度な転位)
ステージ1や2のような非転位型であれば自身の骨をスクリューで固定する手術が可能ですが、ステージ3や4の転位型になると血管の損傷が避けられません。統計的に転位型頸部骨折における骨頭壊死の発生確率は20〜30%以上、偽関節(骨がつながらない状態)のリスクも高率に跳ね上がります。
ギプスや長期安静による「保存療法」は、心臓病などの重篤な合併症で全身麻酔に耐えられない超ハイリスク患者や、受傷前から完全に寝たきりであったケースを除き、現代医療ではほとんど選択されません。無理な保存療法は肺炎や褥瘡(床ずれ)、認知症の悪化を招くため、手術による早期固定が医学的な第一選択です。