小坂明子の音楽人生を語る上で欠かせないのが、父であり名指揮者・編曲家として知られた小坂務氏の影響です。幼少期からクラシック音楽の英才教育を受け、絶対音感と高度なピアノ演奏技術を身につけていたことが、彼女の類まれなメロディセンスの礎となりました。
16歳で作詞・作曲した『あなた』は、1973年の「第6回ポピュラーソングコンテスト(ポプコン)」および「第4回世界歌謡祭」でダブルグランプリを受賞。1974年のオリコン年間シングルチャート第1位に輝き、レコード売上200万枚以上を突破する社会現象となりました。同年の『第25回NHK紅白歌合戦』にも高校生として初出場を果たしています。
しかし、一世を風靡した若きシンガーは、そこで立ち止まりませんでした。自らの声とピアノだけで勝負するシンガーソングライターの枠を飛び越え、1980年代以降は本格的に劇伴・商業音楽・アーティストプロデュースを手掛ける「職業作曲家」としてのキャリアを切り拓いていきます。