『MAD HEAD LOVE』という英語表現は、直訳すると「狂った頭の愛」、すなわち「頭がおかしくなるほどの激しい恋愛感情」を意味します。「MAD(狂気の・錯乱した)」「HEAD(頭脳・思考)」「LOVE(愛)」を組み合わせたこの造語的なフレーズには、理性では到底コントロールできない情動の暴走がダイレクトに投影されています。
本作の和訳やニュアンスを探ると、甘美な恋愛描写ではなく、「愛しているからこそ相手を徹底的に破壊したくなる」「傷つけ合わなければ相手の体温を確かめられない」という、人間の根源的なアンビバレンス(両価性感情)が浮かび上がってきます。
初期の米津玄師は、言葉の語感とリズムを極限まで研ぎ澄ませる作風を得意としていました。「ベイビーベイビビアイラビュー」という極めてポップでキャッチーなサビのフレーズの裏で鳴り響く不穏なギターリフと歪んだベースラインは、理性を失った狂乱状態そのものを聴覚化していると言えます。