日常会話で頻出する「すごい綺麗」「すごい早い」という言い回し。街中やWebメディアで毎日のように目にする表現ですが、文法的に厳密な視点を持つと、明確な違和感を生む構造を抱えています。ここで重要になるのがすごいと凄くの違い文法です。
本来、形容詞「すごい」を活用させる場合、後ろに名詞が続くときは連体形(例:すごい熱気)、動詞や他の形容詞を修飾するときは連用形である「すごく」(例:すごく綺麗、すごく走る)に変化させるのが日本語の文法規則です。したがって、「すごい高い」のように形容詞を「すごい」のまま修飾する用法は、文法上は「破格(口語特有の副詞的用法)」に分類されます。
文化庁が実施してきた「国語に関する世論調査」の長期追跡データを分析すると、「すごい+形容詞(例:すごい大きい)」を「気にならない」と回答した割合は、若年層から40代にかけて80%近くに達しており、口語表現としては事実上の市民権を獲得しています。しかしながら、ビジネスメールや公式なプレスリリース、公文書において「すごい売上」「すごい便利」と記載することは教養不足とみなされるリスクを常に伴います。改まった文脈では、必ず「非常に」「極めて」「大変」といった副詞に置き換える姿勢が不可欠です。