日本全国に数ある茶畑景勝地のなかで、なぜ大渕笹場だけが突出した評価を得ているのか。その最大の理由は、「電柱や電線が一切視界に入らず、富士山と茶畑だけを真正面から捉えられる構造」にあります。富士山麓の傾斜地に美しく整列した茶の畝と、背後にそびえ立つ霊峰のバランスは、まさに日本の原風景と呼ぶにふさわしい調和を保っています。
この景観が最も輝きを放つベストシーズンは、4月下旬から5月中旬にかけての「新茶・一番茶」の茶摘み時期です。冬を越した茶の木から柔らかな新芽が芽吹き、畑全体が鮮やかな黄緑色(萌黄色)に染まるこの時期、富士山の山頂にはくっきりとした残雪が残り、息をのむほどドラマチックな色彩対比が生まれます。
新茶の収穫(茶摘み)が始まると茶葉が刈り取られ、徐々に濃い深緑色へと移り変わるため、鮮烈な新緑グラデーションを狙うなら、5月上旬の大型連休前後がひとつの目安となります。もちろん、夏のみずみずしい深緑、冬の冠雪富士と静寂な茶園の風景など、四季折々の表情も見逃せません。