長野県側の木曽谷(木曽路)や伊那谷(南信地方)もまた、五平餅の聖地として外せません。妻籠宿、馬籠宿、奈良井宿といった名立たる宿場町では、石畳の街道沿いに香ばしい煙を上げる茶屋が立ち並びます。
信州側の五平餅は、豊かな自然が育んだ信州味噌と山ぐるみを基調とした、深みのある素朴な味わいが特徴です。標高の高い山間部で身体を動かす旅人や木こりたちのエネルギー源として重宝されてきた歴史があり、甘辛いタレの奥にしっかりとした塩味と味噌の旨味が感じられます。
また、南信・飯田地方では、丸いだんごを3つ連ねた串五平餅に、ネギや山椒を刻み込んだ特製味噌ダレを合わせる独自のスタイルも根付いており、地域ごとの食文化のグラデーションを楽しむことができます。