文部科学省が旗を振る「学校における働き方改革」は、2026年現在の小学校現場にどれほど浸透しているのでしょうか。取材と現場教員の手記、コミュニティの声を突き合わせると、制度と現場の激しい乖離が浮かび上がります。
「定時退勤日(ノー残業デー)が週に1回設定されたが、その日に早く帰ると翌日の授業準備が終わらない。結局、自宅にテストや指導案を持ち帰って深夜まで作業しているだけで、労働時間は1分も減っていない」——都内の公立小学校に勤務する30代教諭は、自嘲気味にそう語ります。
中学校と違って小学校には原則として部活動がありません。しかし、その代わりに小学校特有の強烈な負荷が存在します。 第一に、「外国語(英語)教育」や「プログラミング教育」の必修化に伴う授業準備の高度化。第二に、発達支援を要する児童への個別配慮(インクルーシブ教育)の対応。そして第三に、保護者からの過度な要求やクレーム対応です。
現場を支援するはずのICTツールも、皮肉な副作用を生んでいます。校務支援システムの導入で成績処理は効率化したものの、保護者連絡アプリの普及によって「夜間や土日にも欠席連絡や相談メッセージが届き、心理的に仕事から解放されない」という新たなストレスを生み出しています。「子どもの命と未来を預かる責任」というプレッシャーの中で、自己犠牲を前提とした献身が求められ続ける文化は、未だ完全に払拭されていません。