五月人形を手放す際、最初にあがる選択肢が「神社での供養(お焚き上げ)」と「自治体のごみ回収」である。このふたつは、費用面でも精神的な納得感の面でも大きな対極に位置している。
端午の節句を彩ってきた人形には、子供の身代わりとして厄を引き受ける「身代わり人形」としての文化的背景がある。そのため、多くの人がただ捨てることへの躊躇を覚える。神社での供養では、魂を抜いて感謝を告げる神事が行われた後にお焚き上げが行われる。例えば、明治神宮をはじめとする全国の主要な神社や寺院では、定期的に人形供養の受け付けを実施している。また、遠方で足を運べない人のために一般社団法人日本人形協会が提供する郵送代行サービス「人形感謝祭」のような仕組みも定着している。費用相場は、ダンボール一箱あたり3,000円から1万円程度だ。
一方、自治体による処分は、経済的かつスピーディーな解決策となる。金属パーツや木材、衣類などを分別し、指定の粗大ごみ券を購入して出す場合、費用は数百円から1,000円程度で済む。自治体によっては指定袋に入るサイズであれば可燃ごみ・不燃ごみとして処理できる地域もある。塩を振って清め、感謝の言葉を添えてから出すことで、心理的な区切りをつける人も多い。費用と感情のどちらを優先するかで選ぶべき道は自ずと分かれる。