宗教がひとたび暴走した時、社会にどれほど甚大な被害をもたらすか。日本社会における最大の傷痕は、オウム真理教による一連の無差別テロ事件である。教祖であった浅原彰晃は、高度な科学知識を持つ若者や高学歴層を引き込み、ハルマゲドン思想と絶対的な服従によって信者を洗脳、最終的には地下鉄サリン事件という未曾有の惨事へと突き進んだ。
ジャーナリストたちによる粘り強い調査報道は、教団内部でいかに異論が排除され、暴力と恐怖による支配が完成されていったかを明らかにした。この歴史的教訓が教えてくれるのは、どれほど高尚な思想や平和を掲げていても、教祖や幹部への絶対服従を求め、批判的思考を禁じる組織は極めて危険だという冷徹な事実である。