トマトの保存と調理に関しては、ネット上で広く信じられているものの、実は科学的・栄養学的に誤っている常識がいくつか存在します。
誤解①:「買ってきたトマトはすぐに冷蔵庫の野菜室に入れるべき」
これは半分正解で半分間違いです。まだ青みが残っているトマトや、完熟前のかたいトマトを10℃以下の冷蔵庫に入れてしまうと、追熟が完全に止まるだけでなく、「低温障害」を起こして細胞が破壊され、特有の芳香成分が揮発して味が水っぽくなってしまいます。赤みが完全に乗るまでは、20℃前後の風通しの良い日陰で常温保存するのが鉄則です。完全に真っ赤になった後、初めて野菜室または冷凍庫へ移してください。
誤解②:「トマトは生で食べた方がビタミンや栄養をそのまま摂れる」
トマトの代名詞である強力な抗酸化成分「リコピン」は、植物の硬い細胞壁の中に閉じ込められています。そのため、生のままサラダで食べても体内への吸収率は高くありません。農学・家政学の研究データによると、トマトを加熱して油(特にオリーブオイル)と一緒に摂取した場合、リコピンの体内吸収率は生食時の約3〜4倍に増加することが判明しています。大量消費のために加熱調理することは、かさを減らすだけでなく、栄養学的にも極めて合理的なアプローチです。