インターネット上の検索コミュニティやSNSで定期的に話題にのぼるのが、「辰巳の森海浜公園は今どうなっているのか?」という現状への関心です。2001年の大ヒットドラマ『HERO』で木村拓哉氏演じる検事らがオープニングで一列になって闊歩した辰巳の森海浜公園の並木道は、放送から四半世紀近くが経過した現在も、映画ファンやカルチャー愛好者にとって特別な巡礼地であり続けています。
一時期ネット上では「再開発工事によってあの並木道が消失したのではないか」という根拠のない噂が拡散されました。しかし、辰巳の森海浜公園の現在と工事の経緯を東京都港湾局の公表資料および現地調査から辿ると、実態は全く異なります。工事の中心は公園の破壊ではなく、隣接する巨大スポーツインフラの再編に伴う周辺環境の刷新でした。
近隣にそびえる東京アクアティクスセンターは東京2020大会を経て国際公認プールとして一般開放と競技会利用が定着し、その周辺施設として辰巳の森海浜公園との歩行者動線の再構築が図られました。さらに隣接する旧辰巳国際水泳場はアイスアリーナ改修計画に基づき、年間を通じて都民が利用できる通年型スケートリンクへと生まれ変わる大規模改修工事が進められてきました。こうした一連のインフラ整備に伴い、公園外周部や一部アプローチで仮囲いや導線変更が発生したことが、「公園自体が工事で様変わりした」という錯覚を生んだ背景にあります。
取材班が現地を歩くと、整然と植栽された緑豊かな並木道は堂々たる姿を保っており、木々の成長によってむしろ重厚な風格を漂わせていました。ドラマが放映された当時の初々しい樹形から、時を経て見事な枝振りに育った景観は、訪れる人々に圧倒的な開放感を与えています。