『ザ・シンプソンズ』が「未来を予言している」と世界中で決定づけられたのは、歴史の転換点となる出来事をあまりにも正確に描写していたからです。数あるエピソードの中でも、特に世界に衝撃を与えた代表例を振り返ります。
最も有名な事例は、2000年放送のシーズン11第17話「バート・トゥ・ザ・フューチャー」です。作中で大統領に就任したリサ・シンプソンが「トランプ前大統領から巨額の国家財政赤字を引き継いだ」と発言する場面が登場します。当時、一介の実業家に過ぎなかったドナルド・トランプ氏が実際に第45代アメリカ大統領に就任したのは、放送から実に16年後の2016年のことでした。
さらに近年、世界を戦慄させたのがタイタン号沈没事故の類似描写です。2006年放送のシーズン17第10話「Homer's Paternity Root」では、主人公ホーマーが小型潜水艇に乗り込み、沈没船の財宝を探す途中で酸素不足に陥る展開が描かれました。2023年に発生したタイタニック号探索潜水艇の圧壊事故と設定が酷似していただけでなく、本作の元エグゼクティブ・プロデューサーであるマイク・ライス氏自身が過去にタイタン号に搭乗していた事実が判明し、さらなる議論を呼びました。
このほかにも、以下のような出来事が現実化しています。
- ディズニーによる20世紀フォックス買収(1998年放送):劇中のスタジオ看板に「ウォルト・ディズニー・カンパニーの一部門」と明記され、約20年後の2019年に現実化。
- スマートウォッチやビデオ通話(1995年放送):シーズン6第19話で、時計に向かって通話し、スクリーンで会話する未来の生活様式を正確に描写。
- 感染症の世界的大流行(1993年放送):シーズン4第21話「マージの逮捕」で、アジアから届いた小包を介して未知のウイルス「大阪インフルエンザ」が街中に蔓延するパニックを描写。
- ジークフリード&ロイの猛獣襲撃事故(1993年放送):ラスベガスの人気猛獣使いコンビが白トラに襲われるシーンを放送。10年後の2003年、実際にロイ・ホーン氏がショーの最中に白トラに襲撃される惨事が発生。