トイレットペーパーの価格が上昇し続けている背景には、単一の要因ではなく、製造から流通に至るサプライチェーン全体で発生している構造的なコスト増が存在します。
最大の要因はパルプ原材料高騰です。家庭紙の主原料となる木材パルプは、北米や南米からの輸入に大きく依存しています。世界的な環境規制の強化による伐採制限や、中国をはじめとする新興国での衛生用紙需要の拡大が重なり、国際市況でのパルプ取引価格は高止まりを続けています。
さらに追い打ちをかけているのが、円安日用品値上げの連鎖です。製紙産業は輸入パルプだけでなく、製造プラントを24時間稼働させるための重油・LNG(液化天然ガス)や電力などのエネルギー資源を大量に消費します。為替相場の円安進行は、原材料調達費と製造エネルギー費の両面を劇的に押し上げる直撃弾となりました。
これに加えて見逃せないのが物流費高騰です。トラックドライバーの時間外労働規制に伴う輸送能力の逼迫、いわゆる物流の課題が深刻化するなか、トイレットペーパーのように「軽くて体積が大きい(嵩張る)」商品は、トラック1台あたりの積載重量効率が極めて低く、輸送コストの上昇分が製品価格にダイレクトに跳ね返る宿命を背負っています。