アヒル口とは、上唇の中央部分(上唇結節)がややめくれ上がるように前へ突き出し、左右の口角が自然に上がっている状態を指します。横から見たときに鳥のアヒルのくちばしを思わせる立体的なアーチを描くことから名付けられました。解剖学的には、口の周りを取り囲む口輪筋と、口角を斜め上に引き上げる大頬骨筋・口角挙筋が連動して作り出される形状です。
メディアやSNSで混同されやすい造形に「カッパ口(ぐち)」があります。両者の決定的な違いは、唇のアーチ形状と相手に与えるニュアンスにあります。カッパ口との違いを観察すると、カッパ口は上唇を突き出すのではなく、上唇の山を平らに引き伸ばすようにしてキュッと真横に結んだ、富士山のようなへの字ラインを描きます。アヒル口が無邪気さや甘え、愛嬌を前面に出すのに対し、カッパ口はいたずらっぽさや知的な爽やかさを感じさせる特徴があります。
また、アヒル口は生まれつきの骨格や歯列によって形成されているケースも存在します。上顎の前歯が適度に出ていたり、上唇の皮下組織がふっくらと発達していたりする人は、意識して表情を作らなくても平常時から愛らしいアヒル口の形状を保っています。先天的な特徴を持つ人々がいる一方で、後天的に表情の癖や筋肉の付き方によって身につくケースも珍しくありません。