1970年代初頭の関西フォークシーンは、メッセージ性の強いプロテストソングから、個人の生活感や情感を深く掘り下げる「私小説的・叙情的なフォーク」へと大きな変革期を迎えていました。
その震源地の一つが、大阪ミナミの喫茶店「ディラン」でした。マスターを務めていた大塚まさじの元には、西岡恭蔵をはじめ、友部康友、中川イサト、いとうたかおといった若き才能たちが夜な夜な集結。酒を酌み交わし、海外のルーツミュージックを聴き漁りながら、自分たちの言葉で歌を紡ぎ出していました。
政治運動の熱狂が去り、どこか虚無感が漂い始めていた時代において、「プカプカ」が提示した「しがらみに縛られず、風のように生きていくスタンス」は、行き場のない若者たちの心へ鮮烈に染み渡りました。大塚まさじの朴訥で情感あふれるボーカルと、西岡恭蔵の持つ天性のポップセンスが融合したことで、関西フォーク史に燦然と輝く金字塔が打ち立てられたのです。