個人投資家の間では「オーストラリアは先進国で唯一人口が増加しているから長期保有なら絶対に安全」「資源国だからインフレに強い」といった楽観論が語られがちです。しかし、豪ドル円チャート過去推移を詳細に検証すると、この言説には重大な死角が存在します。
豪ドルは典型的な「ハイベータ通貨(高リスク選好通貨)」であり、平時にはじわじわと買われるものの、金融危機や地政学リスクの発生時には主要通貨の中で最も激しく売られる性質を持っています。
過去のデータを見ても、2008年のリーマンショック時には104円台から一気に55円台まで約47%暴落し、2020年のコロナショック時にも瞬く間に59円台まで急落しました。これが豪ドル暴落シナリオの理由として市場関係者が常に警戒する「流動性引き揚げリスク」です。
有事の際、世界中のヘッジファンドや機関投資家は、まず流動性の高いリスク通貨である豪ドルを決済売却し、安全資産とされるドルや円へ逃避します。「長期なら右肩上がり」という株式のような前提をそのまま為替市場に持ち込むことは、致命的な判断ミスを招きかねません。