クリオネの生態は、その見た目の美しさとは裏腹に、驚くほど過酷な捕食戦略を持っている。体長はわずか1〜3センチメートル程度と極小で、北極・南極付近の冷水域(水温0〜5℃前後)に生息する。オホーツク海沿岸では流氷の下に群れることで有名で、北海道の観光地では冬季の風物詩として親しまれている。
注目すべきは、その捕食シーン。餌となるリマキナ属の巻き貝(翼足類)を感知すると、頭部から「バッカルコーン(bucccal cones)」と呼ばれる触手状の器官を6本展開し、貝を殻ごと包み込んで中身を吸い出す。この様子は「天使の顔を持つ悪魔の食事」と称され、映像共有サービスでたびたびバズを引き起こしてきた。2025年末にYouTubeにアップされた高画質クリオネ捕食映像は、公開から3週間で再生数1,200万回を超え、国内外から「美しすぎる」「怖い」「これが海の蝶か」といったコメントが殺到した。
クリオネはまた、雌雄同体(両性具有)でもある。繁殖期には互いに精子を交換し合い、産んだ卵をゼラチン質の塊として海中に放つ。繁殖能力と美しい外見のギャップが、この生物に神秘的なオーラを加えている。
【クリオネとウミウシの違い】混同されがちな二者を徹底比較
「海の蝶=ウミウシ」と誤解している人は少なくない。実際には、クリオネとウミウシは同じ軟体動物門に属するが、分類学的には別物だ。両者の主な違いを以下の比較表に整理した。
ネット上の知恵袋や5ちゃんねる(旧2ch)でも「クリオネとウミウシは同じ?」という質問が繰り返し投稿されており、誤解の根深さがうかがえる。結論として、「海の蝶」という愛称が最も正確に当てはまるのはクリオネ(ハダカカメガイ)であり、ウミウシはまったく別の生物群と理解しておくべきだ。