革製品のエイジングといえば、数年単位の歳月をかけてゆっくりと色艶が深まる姿を想像しがちです。しかし、プエブロレザーのエイジングは一般的な牛革と比べて変色のスピードが圧倒的に早く、使用開始からわずか3ヶ月〜6ヶ月程度でまったく別の革かのような変貌を遂げます。この劇的な変化をもたらす要因は、製造現場であるイタリア・トスカーナ州の老舗タンナー「バダラッシ・カルロ社」が守り続ける伝統的な技法にあります。
プエブロレザーのベースとなっているのは、トスカーナ地方に1000年以上前から伝わる伝統的なバケッタ製法で鞣された「ミネルバボックス」という高品質なオイルドレザーです。バダラッシ・カルロ社では、植物タンニンでじっくりと時間をかけて鞣した牛革に、時間をかけて純度の高い「牛脚油(牛のすね骨や足の油)」をたっぷりと浸透させます。この牛脚油は分子が非常に細かく、革の繊維の奥深くまで浸透するため、一度染み込むと抜けにくく、長期間にわたって潤いを保持し続ける特性を持ちます。
そして最大の決定打が、その後の仕上げ工程です。熟練の職人が真鍮ブラシを使い、吟面(革の表面)にランダムな円を描くようにブラッシングを施し、あえて微細な傷をつけて起毛させています。新品時に感じる「和紙のようなマット感」や毛羽立ちの正体は、この入念なスクラッチ加工によるものです。
使い始めると、日々の摩擦によって表面の微細な毛羽がゆっくりと寝かされて平滑になります。それと同時に、革の繊維深くに閉じ込められていた牛脚油が体温や摩擦熱によって表面へとじわじわと染み出してきます。この「起毛の寝かし」と「内部からのオイル浮き」が相乗効果を生み出すことで、人工的なコーティングでは絶対に再現できない、奥底から湧き上がるような極上の光沢膜が形成されるのです。